「コワーキング」の語源とは?

「コワーキング(co-working)」の語源は、「CO(共同)」+「Working(働く)」の二語を合わせたところからきており、日本語に訳すと「共同で働く空間」という意味になります。

最近では、co-workingではなくCoworkingという単語としても使われています。

coは「共同、共有、相互」を表す言葉で、副操縦士は co-pilot(コーパイロット)、共著者はco-authorship共同創業者はco-founderなどcoはよく使われている単語になります。

コワーキングの特徴

「コワーキング」はオフィス形態やワークスタイルの1つで、仕事を行うデスクやソファー、事務所、、商談、会議を行うミーティングルームなどの場所が共用のスペースとなっており、全く異なるサラリーマンや各個人事業主、フリーランスなどがそれらをシェアしながら働く事を指す用語で、そのようなスタイルで働ける場所・環境を「コワーキングスペース」といいます。

わかりやすく例えるなら、図書館や食堂のような広いオープンスペースに、会議室や打ち合わせなどができる部屋がプラスされたような、よりオフィスとしての環境を整えた場所ということです。

コワーキングの利用者

利用者にはとりわけフリーランスなどのITエンジニアやライター、エディター、Webデザイナー、学生から会社の経営者まで幅広く存在するため、本来なら交流することのない人々ともコワーキングスペースではコミュニケーションを取ることができます。

普段仕事を1人でこなすノマドワーカーやフリーランス中には、「ビジネスに関する話題を誰かと共有したい」という人もたくさんいます。

そのため、新たな人脈を増やす方法として、コワーキングスペースをコミュニケーションの場として活用するフリーランスも増えています。

コワーキングのサービス

コワーキングスペースでは働く場所として、さまざまなビジネスパーソンをサポートできるサービスが提供されています。

例えば、Wi-Fi環境や電話、文房具といった作業に必要な基本的なインフラに加え、無料ドリンクやキッチンなどのサービスを提供しているところもあります。

中にはアルコール類も無料で提供しているところもあります。

また、電話や郵便物の転送や住所を利用した法人登記もできるため、オフィス代わりとして事業用の固定電話を利用することなども可能です。

コワーキングのメリット

コワーキングスペースは、作業がしやすい環境が整っている、賃貸物件よりもコストが抑えられる、手軽に打ち合わせができる、色んなビジネスチャンスを拾えるといった様々なメリットがあります。

集中できる環境

よく街中のカフェやレストランでスーツを着たサラリーマンやフリーランスの方がパソコンで作業をしているのを見かけます。

店内ミュージックに程よい周りの雑音だからこそ作業に集中できるという人もいますが、場合によっては気が散って作業がしにくいと感じるシーンもあるでしょう。

例えば、「テーブルが小さい」「席の間隔が狭く隣の人が気になる」「Wi-Fi環境があまりよくない」「作業をしていると注意される」「空席がなくなると周囲の目線が気になる」「料理が気になって集中できない」といったことが作業効率を悪くすることもあります。

コワーキングスペースなら周りの雑音や人目を気にする必要もないので、必要なときに必要なときだけ作業に集中できる環境を求めている人は、コワーキングスペースで仕事をすることが非常に適した環境だと言えます

付加価値の提供

コワーキングスペースの利用料は場所代だけではなく、たくさんの付加価値もついています。

例えば、オフィス用の賃貸物件を借りて自身のオフィスを作る場合、ネット回線などの通信設備の購入費や光熱費、賃料、契約や機材の設定時間など多額のランニングコストや時間が掛かってしまいます。

一方で、コワーキングスペースは、そのようなコスト削減や時間短縮にもつながるので、オフィス用賃貸物件を借りるより遥かに費用を抑えることができます。

また、コワーキングスペースでは常に綺麗なオフィス環境で利用できるのも1つのポイント。

特に近年では、新型コロナに対する衛生面の対策に加え、防犯や衛生管理の行き届いたスペースを利用できるため、常に安心してリフレッシュした環境で作業することができます。

ドロップイン

その都度コワーキングスペースの利用料を支払うドロップイン(ちょっと立ち寄る) を活用すれば、総合的なコストを大きく下げることができるでしょう。

ドロップインでコワーキングスペースを活用すれば、必要な時間だけ落ち着いた雰囲気で打ち合わせを進めることが可能です。

ちょっとした打ち合わせでカフェやレストランを利用する人もいますが、満席で席の確保ができなかったり、周囲の騒音が気になったり、そもそも料理やドリンク代の出費がかさむなど、落ち着いた打ち合わせに活用することが難しいケースがあります。

もちろんコワーキングスペースでは、専用の打ち合わせスペースや、会議用の個室を利用することができます。

ドロップインでのコワーキングスペースであれば、いつでも手軽に会議や商談、打ち合わせを進めることができます。

コワーキングスペースは、さまざまな業種や業界、立場の人がたくさん利用しています。

まったく異なる目線を持つ人と交流できたり、新しいビジネスチャンスをもらえたり、情報交換をする中で自身のスキルアップに繋がるチャンスが転がっていることも多々あります。初対面の人や全く知らない人と触れ合うチャンスを活かすことで、新たな人脈やビジネスチャンスを作り出せるだけではなく、プライベートでも仲良くなることもできるのはコワーキングスペースのメリットです。

コワーキングの歴史

コワーキングスペースが登場した当初は、大きなテーブルを複数人で好きなように使うスタイルが主流でした。

しかし現在では、集中したい人や新型コロナウイルスの影響により感染症対策の観点から、使用する人ごとに仕切り等で区切ったスペースを設けるところも一般的になっています。

さらに、複数人で使える大小の会議室や、オンライン会議をするための個室テレワークブース、他の人に迷惑をかけないような電話ブースなどを備えている店舗もあります。

最近では、3Dプリンターなどを完備した「ものづくり」のためのワーキングスペースや、お酒や温泉を楽しみながら仕事ができるユニークなワークスペースも登場しています。

また、お子さんがいる人向けに保育園を併設したり、スタートアップ起業支援サービスの提供や、セルフのチェクインシステムを導入し24時間いつでも利用できる無人店舗が登場するなど、多様化が進んでいます。

「コワーキング」という言葉は、1999 年にバーニー・デコーベンによって初めて使用され、コンピューターと当時の新技術によってサポートされる共同作業について説明しました。

今日知られているように、物理的なスペースを含むコワーキングは、2005 年にブラッド ノイバーグという人物がこの用語を使用して、独立したモバイル ワーカーが集まってカジュアルな環境で働く物理的なスペースを表現したときに始まりました。

ノイバーグという人物が、サンフランシスコの仕事用/居住用ロフトで帽子工場を始め、

2006年に最初のコワーキング スペースの 1 つと考えられているサンフランシスコのシチズン スペースがオープンし、世界的なコワーキング ムーブメントをリードしました。

サンフランシスコは近くにシリコンバレーがあり、多くの有名IT企業がひしめく街から車で50分弱のところにあり、エンジニアやプログラマーといった技術者がとても多い街と言われてました。

ノエル・イダルゴとベカ エコノモプロスは、ブルックリンのウィリアムズバーグにあるThe Change You Want To See Gallery (後にBrooklyn Coworkingに改名され、2011 年にブルックリンの Greenpoint に移転) で、ニューヨーク初の専用コワーキング スペースを開始しました。

世界で最も古く、最も長く継続的に運営されているコワーキング スペースで、 ニューヨーク市の 2 人のルームメイト、アミット・グプタとルーク・クロフォードによって始められた、モバイル ワーカーがカジュアルな職場環境の集まりを「Jelly」(ジェリー)と呼び、促進していました。

2007年には、世界で75箇所のコワーキングスペースが運営されています。

ほぼ毎年、スペース数が倍増する状態になっています。

Jellyは、オースティン、フェニックス、サンフランシスコなどの都市で成長を続けており、多くのグループが常設のコワーキング スペースを見つけています。

また、この年にコワーキング がウィキペディアに初登場しました。

2008年には、世界中に160のコワーキングスペースがオープンし、託児施設を備えた初のコワーキング スペースをオープンしました。

北米とヨーロッパのほとんどの主要都市には、コワーキングのコミュニティが誕生し、旅行中の同僚が他のコワーキングスペースで働くため のコワーキングビザプログラムというのも誕生しました。

2010年5月には、日本で最初のコワーキングスペース「カフーツ」が兵庫県の神戸に誕生しました。

次いで、東京にできたのが「パックス・コワーキング」です。

「カフーツ」は現在もJR神戸駅のすぐそばにあり、代表の伊藤富雄さんはコワーキングを社会に定着させるべく営業を続けています。

「パックス・コワーキング」は「パーティーをするように仕事をしよう!」というコンセプトのもと、東京都の小田急線経堂駅近くで営業しています。

また、この年にはヨーロッパでは初のコワーキングスペース・カンファレンスが開催されました。

2012年にはコワーキングスペースは2,000台箇所を突破し、現在でもなお増え続けています。

https://wiki.coworking.org/w/page/16583831/FrontPage参照

コワーキングの価値

アメリカペンシルベニア州フィラデルフィアで「インディ・ホール」を運営しているアレックス・ヒルマン氏はコワーキングには、持続可能性、アクセシビリティ、開放性、コミュニティ、コラボレーションの5つの価値があると説明しています。

持続可能性とは、何かを実行する必要がある限り、実行できることを確実に実行できるようにすることです。

あいまいではありますが、コミュニティ、コワーキング スペース、インフラストラクチャ、およびビジネス モデルを、外部のリソースに依存せずに維持、成長、繁栄できるように構築することが大切であると説明しています。

アクセシビリティとは、コワーキングスペースで働くことによって生産性レベルを挙げている人の多くは、その日の勤務場所を自分で選択できること、および その日の勤務場所を選択し、他の人に囲まれていることのメリットを実際に感じことだと説明しています。

開放性とは、コワーキングを「オープン」にすることで、誰も制御できないほど大きなものに発展する可能性があり、最終的にはそれがアイデアにとって最良のものになることに気付いたと説明しています。

コミュニティとは、同じコミュニティとは2つとなく、コワーキングスペースのオーナーが持つべき最良の関係は、そのスペースに住むコミュニティに所属することだと説明しています。

コラボレーションとは、コワーキング スペースは、より良い共同作業者になる方法を学ぶのに最適な場所だと説明しています。

https://wiki.coworking.org/w/page/16583831/FrontPage参照

コワーキングデイ

2010年、世界各地のコワーキングの同意のもと、8月9日はInternational coworking day(世界コワーキングデイ)と制定されています。

それを記念して毎年8月9日は「International Coworking Day」として世界各地のコワーキングでイベントや無料開放が行われています。

日本においても、コワーキングデイの時は、利用料や入会費を無料にしたり、コワーキングについて語るイベントをを開催したりと様々なイベントを行っています。

もちろん普通に仕事をしたり、知り合った人と話し込んだり、飲んだり食べたり、本を読んだり、打合せしたり、本来のコワーキングの利用もできるので、仕事ができなくなることはないでしょう。

まとめ

コワーキングの歴史はまだまだ浅いですが、今後間違いなく需要が増えてくるでしょう。

今も、コワーキングを通じてたくさんのつながりからたくさんのアイディアや商品が生まれています。

新しい時代を作り出すコワーキングスペースに、これからますます注目が集まりそうです。