個室タイプのコワーキングスペースのメリット・デメリット

新型コロナウイルスの流行をきっかけに、オフィスから離れた場所や自宅で仕事を行うテレワークやリモートワークが定着しました

自宅に仕事をするスペースがないといったニーズにより、さまざまなオフィススペースが生まれ、そのひとつが多様な働き方に対応するコワーキングスペースです。

中でもコワーキングスペースでありながら、「個室」を利用できるブースがあるコワーキングスペースが今、注目を集めています。

この記事では、コワーキングスペースと個室コワーキングスペースの特徴、コワーキングスペースの個室を利用するメリット・デメリット、個室コワーキングスペースの環境設備とその選び方について解説していきます。

そもそもコワーキングスペースとは?

まず、コワーキングスペースとは一体、どんなスペースのことを言うのでしょうか。

コワーキングは「Co(共同で)」「Working(仕事をする)」。つまり、フリーランスやスタートアップの起業家などが「共同で仕事をするスペース」という意味になります。

コワーキングスペースとは、共有型のオープンスペースで仕事や作業をする新しいスタイルのオフィスのこと。ですから、普通なら出会う事のない人達と共有型のオープンスペースで出会うことができるため、お互いに思いつかないようなアイデアが生まれる可能性を秘めているという魅力的な場所でもあるのです。

これがコワーキングスペースの最大の特徴といえるでしょう。

コワーキングスペースは2021年5月時点で全国に1147店舗ほどあります。(参考:株式会社コワーカーズ https://coworkers.fun/coworkingspace-shop-2021/)

ですから、自分に合ったコワーキングスペースも見つけやすいといえるでしょう。事前にネットから登録すればスムーズに入店することができるところもあるので、調べてみるのも手です。

コワーキングスペースの個室とは?

コワーキングスペースの個室スペースは「半個室」と「完全個室」の2つのタイプに分けられます。

「半個室」はスペースをパーテーションで仕切ってあり、そのブースを専有できるものです。

一方、「完全個室」は独立した個室になっています。

コワーキングスペースの運営会社によっても違ってきますが、個室ごとのネット環境はもちろんのこと、専用のロッカーがある、24時間出入り可能、防音仕様など特徴はさまざま。

ただし、共有空間があるので、プライバシーやセキュリティの面で不安が残るのが難点です。

コワーキングスペースの個室を利用する7つのメリット

「個室」は自分だけの空間となる場所です。ここからはコワーキングスペースの個室を利用するメリットを見ていきましょう。

メリット1:気軽に利用できること

オフィスに勤めているなら毎日、同じ時間に行く必要がありますが、コワーキングスペースなら、いつでも開いているときに利用することができます。中には24時間利用可能なコワーキングスペースもあるので、作業や仕事がしたい!と思った時に利用できるのが最大のメリットです。

利用時間が限られていると途中で作業を止めなければなりませんし、あと、何分しかない! と思うと、時間だけが気になってしまい集中できなくなってしまうもの。

何といっても自分専用のスペースが確保できるというのは最大のメリットでしょう。

メリット2:作業に集中できること

当たり前ですが、コワーキングスペースやオフィスでは多くの人がいます。ところが、個室なら共有スペースでの作業や仕事と違って、プライベート空間が保たれているので、自然と集中しやすい環境を作ることができます。

個室は、周りの人の声や人の動きも視界に入りません。ですから、特に集中したいときにはおすすめです。

他人の声や動きで集中が途切れずに、絶えず自分のペースで進められます。

刺激が欲しくなったり、気分を替えたくなったりした時は多くの人がいるコワーキングスペースに顔を出したり、フリードリンクを取りに行けばいいのです。全て好きなタイミングで行えます。

メリット3:仕事に必要な設備がそろっていること<

コワーキングスペースは作業や仕事を行う上で必要な設備がそろっています。

デスク、イスはもちろんのこと、電源、USBポート、インターネット・Wi-Fi環境、空気清浄機。さらに液晶モニター、各種接続ケーブル、プロジェクター、複合プリンター、充電器といった、重宝する設備も用意しているコワーキングスペースも増えてきました。長時間座っていても疲れない高機能チェアがあるところもあります。給湯器、シンク、電子レンジ等が共有スペースに完備されているコワーキングスペースも多くあります。

賃貸でオフィスを契約すれば光熱費がかかりますが、コワーキングスペースなら料金に含まれていることも多く、これらの費用の心配もしなくてもいいのです。

ただ、全てのコワーキングスペースが全てが込みの値段であるとは限らないので、事前に料金内容に何が含まれているのか、何が無料で使え、何がオプションなのか、また、他にプランがあるのかといったことを確かめておく必要はあります。

メリット4:低コストで利用できること

コワーキングスペースは、借りたい時に借りることができるので、低コストで利用できます。自分専用のオフィスを借りようと思ったら、どうしても初期費用がかかります。不動産会社に何度も行く必要がありますし、事務所となればそれなりの費用がかかっていきます。

その点、コワーキングスペースなら、安く利用できるというメリットがあります。

メリット5:防音性に優れていること

防音仕様になっている完全個室のコワーキングスペースなら、静かな環境で周りを気にせずに面接やオンライン会議ができます。周囲の音を遮断できるため、相手に話し声が伝わりやすく、面接やオンライン会議に集中できます。ですから、別に会議室を借りる必要もありません。

さらに、たとえ少々大きな声を出しても、話し声が外に漏れにくいので内容を聞かれる心配もないのです。また、覗き見される心配もないので、安心して仕事に取り組むことができます。

メリット6:セキュリティ面で安心できること

カフェやでフリーのコワーキングスペースで会議をするのは難しいことです。話の内容を聞かれてしまいますし、覗き見による情報漏洩といった心配も考えられます。

その点、個室を利用することで、以下の2つの利点が考えられます。

・業務上の秘密を漏らしてしまう心配がないこと

・私物の盗難の心配がないこと

不特定多数の人が利用する場所だと、セキュリティ面が心配ですが、個室ならその心配もありません。

コワーキングスペースが入っているビルの受付に人が常駐しているかどうか、警備体制はしっかりしているかもあらかじめチェックしておくといいでしょう。

メリット7:交流チャンスも生まれること

コワーキングスペースの個室タイプを使っても、本来であるコワーキングスペースとしての交流チャンスも見込めます。利用者との交流会や勉強会を開催するコワーキングスペース会社もあるため、仲間を増やしたい、異業種の人と交流したいという要求にも応えてくれます。

コワーキングスペースの個室を利用する3つのデメリット

コワーキングスペースの個室を利用するメリットもあれば、当然デメリットもあります。ここからはデメリットを見ていきましょう。利用を考えている人はデメリットも知っておくことが大切です。

デメリット1:利用料金が割高になること

共同で使うコワーキングスペースや共有スペースに比べると、当然ですが、コワーキングスペースの個室はどうしても高くなります。高いので、何度も利用してしまうと赤字になってしまう恐れもあります。

契約した人だけしか個室の利用ができないため、大人数が同じスペースを利用するフリー利用に比べると割高です。個室で集中したい時もあれば、共有スペースで異業種の人達との交流も持ちたい! と思ったら、もちろん料金はそれだけかかりますが、共有スペースも個室もどちらも使えるプランがあるコワーキングスペースを探すのも手です。

デメリット2:セキュリティ面の心配

たとえ、個室であってもセキュリティには注意が必要です。トイレや食事などで席を離れる場合は、パソコンやスマホにロックをかけてセキュリティ対策を取っておくといいでしょう。

また、使用する通信環境から情報漏洩してしまう恐れもあるので、ネットワークがセキュリティ保護されたものか確認しておきましょう。

さらに資料や機密書類を持ち込みたい時は、鍵のかかるロッカーがあるコワーキングスペースを選ぶのも大切です。

デメリット3:共同スペースのメリットが得られないこと

コワーキングスペースは、共同スペースを自由に使えるので、近くの人と交流することができるのが最大のメリットです。ところが個室を使ってしまうと、この良さが得られません。

さらに個室だとふと孤独感に襲われたり、考えているうちにズルズルと時間だけが過ぎてしまって、逆に集中できない心配もあります。

個室コワーキングスペースの環境設備とその選び方

選び方のポイント1:料金はいくらかかる?

コワーキングスペースの料金形態にはドロップインと月額で支払う方法の2つがあります。

ドロップインは利用した時間だけ支払う方法で、試しに使ってみたい、不定期でちょっとだけ使いたい時に重宝します。

一方、月額制は決まったコワーキングスペースでまとまった時間に何度も使いたい人にはお得ですが、月額費用以外に入会金が必要になるため、料金をしっかり調べておく必要があります。

選び方のポイント2:自分に必要な設備があるかどうか

自分が使いたい設備があるかどうかも重要。必要なものがなければムダになるだけですから、まず、必要なものがあるかどうか、そしてそれは有料なのか、無料なのかも事前にチェックしておきましょう。

選び方のポイント3:行きやすいエリアかどうか

たとえ気に入ったコワーキングスペースを見つけたとしても、何度も乗り換えが必要な行きづらいエリアではなかなか行けません。自分の家から、または会社から行きやすいエリアであることも重要です

選び方のポイント4:最寄りの駅から徒歩何分?

近くでコワーキングスペースを見つけたとしても、駅から遠く、徒歩で行けないのでは意味がありません。徒歩数分で行けるような場所でないと利便性が良くないので、通い安い場所を見つけるようにしましょう。

選び方のポイント5:内覧はできる?

コワーキングスペースは場所に寄っても雰囲気が変わってきます。利用したいコワーキングスペースの雰囲気がどうかは気になるところなので、ぜひ、内覧ができるかどうかを確かめてみましょう。

まとめ

コワーキングスペースは、自宅やカフェと違って周りに左右されることなくテレワーク・リモートワークを快適に進めることができるスペースです。設備は充実していますし、オフィスを借りるほどのお金もかかりません。ただし、仕事や作業に集中できるかどうかはわかりません。

その点、防音仕様が備わった完全個室なら集中もできるし、さらにセキュリティ対策も万全と言えるでしょう。面接やオンライン会議をするのも十分です。

個室タイプを契約しても、共有スペースを利用できればコワーキングスペースの最大のメリットである人脈作りも得られます。個室タイプと共有スペースの両方を利用するのもいいでしょうし、普段は自宅を使っているけれど、気分を変えて集中したいときに個室コワーキングスペースを利用するのも手です。