コワーキングスペースのドロップインとは?メリット・デメリットも解説

2022年9月26日

最近、いろんな場所で見るコワーキングスペースですが、利用料金の欄に「ドロップイン」と書かれてあります。「1時間○○円」と書かれてあるので、どうやら1時間の利用料金のことのようです。

コワーキングスペースは具体的にどのような料金システムなのか、よくわからないという方もいるでしょう。さらに、あまり聞いたことがない「ドロップイン」も気になるところ。

そこで、コワーキングスペースの料金システムでよく目にする「ドロップイン」、そのメリットやデメリットなどについても解説していきます。

コワーキングスペースとは

まず、コワーキングスペースについて見ていきましょう。

英語ではCoーWorkingとなり、Co(共同で)+Working(仕事をする)となり、それにspace(場所)が追加されて「共同で仕事をする場所」という意味になります。

一般的に「仕事をする場所」というとオフィスビルになり、当然ですが、いつも決まった場所にあります。しかし、コワーキングスペースは「共有型のオープンスペースで仕事をするオフィス」。ですから、決まった場所でもなく、通信環境やOA機器など、仕事に必要な設備が整っている自由に使えるワークスペースなのです。

発祥はアメリカ・シリコンバレー。そこにはデザイナー、編集者、ライターなどが集まり、新たな発想や人脈の形成が行われました。これが世界中に広がっていったのです。

この自由なスタイルが新型コロナウイルスの感染対策として推進されるようになりました。さらに働き方を変えようという動きにより加速したのです。出社しなくてもいい業種や職種はまだまだ限られていますし、大手と中小企業でも違いはあります。

しかし、決まった場所で仕事をしなくてもいいというワークスタイルは確実に増加しています。コワーキング協同組合によると現在、全国各地にさまざまなスタイルの1,000軒近いコワーキングが存在(2020年3月)しているといわれています。

コワーキングスペースのメインユーザーはフリーランスや起業家で「作業に集中できる場所が必要」ということでコワーキングスペースが注目されるようになったのです。

ワークスタイルのひとつコワーキング

コワーキングと似ているのが、良く聞く「テレワーク」。映画「ノマドランド」でも知られるようになった言葉「ノマド」の「ノマドワーク」です。

場所や時間に縛られないといった意味ではテレワークもノマドワークもコワーキングと同じです。

しかし、「テレワーク」はインターネットなどの情報通信技術(ICT)を活用した自由に選べる働き方のこと。Tel(離れて)とWork(仕事)を組み合わせた造語で、オフィスから離れた場所でICTを用いたワークスタイルです。自宅で働く在宅勤務、移動中や出先で働くモバイル勤務、本拠地以外の施設で働くサテライトオフィス勤務と働く場所で分けると3つに分類することができます。

一方、「ノマドワーク」は特定の仕事場を持たずに働く働き方のこと。フリーランスと似ていますが、そもそもフリーランスは個人で仕事を請け負う人で、これは雇用形態のこと。フリーランスは一般的にいうと「個人事業主」です。企業に勤めている人でも仕事はカフェでというのなら、ノマドワークと呼べます。

このことから、ノマドワークは働く場所が一定ではないフリーランスと会社員を指す広範囲の言葉ということになります。

このように働き方にもさまざまなスタイルがあります。決まったオフィスがいらなくなったことから需要が増えたのがコワーキングスペースなのです。コワーキングスペースのポータルサイト「コワーキング.com」(https://co-working.com)に登録している799施設(2019年6月時点)のうち、東京23区は295施設、大阪市は70施設とほぼ半数を占めています。このことからまだまだ、大都市に集中していますが、総務省も以下のように発表しているので全国に増加傾向にあるのは間違いありません。

総務省「平成27年版 情報通信白書」によると、『コワーキングスペースは、各利用者の作業スペースであるとともに、利用者同士の交流の場ともなっており、活発なコミュニケーションを通じて新たなビジネスチャンスを創造する効果もあると期待されている。』( https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/pdf/n4300000.pdf   総務省「平成27年版 情報通信白書」より)と発表しています。

コワーキングスペースにある設備とは?

コワーキングスペースに設置されているものはそれぞれの施設によって違います。

以下はたいていの施設にあるものです。

■デスクとイス

■Wi-Fi

■給水機

■空気清浄機

■電話ブース

この他にも目的に応じて、様々なサービスが施設によって用意されていますが、「月額利用料」を払えば使えたり、別途有料のものもあります。また、Web予約受付をすれば確実に席を確保してくれるところもあります。

■会議室

■複合機(コピー、FAX、スキャナー)

■個室ブース

■専用ロッカー

その他、フリードリンク、仮眠室、シャワーなどがある施設もあります。どうしても使いたいものがあるときは、事前に調べてから行くようにしましょう。

コワーキングスペースの料金システムは?

コワーキングスペースの料金システムは、大きく分けて「月額契約」と「ドロップイン」の2つが用意されている施設が多いです。しかし、中には「ドロップイン」が用意されていない施設もあります。利用するときは、必ずチェックしてからにしましょう。

ここから、それぞれの特徴について解説していきます。

月額契約とは?

文字通り、月極のことです。毎月、決められた額を払ってコワーキングスペースを利用するのが「月額契約」です。施設によっては「月額利用料」「月額会員」などと呼び方は変わります。

さらに、気を付けなければいけないのが条件やルール。月額だからといって、いつでも好きな時に何時間でも利用できるとは限りません。プランが設定されているところもあるので注意が必要です。たとえば平日のみ、土日祭日のみ、月○回まで利用可能というような施設もあります。

月額契約を結ぶ際は必ず、内容を確認してからにしましょう。

ドロップインとは?

ドロップインは、一時利用や都度利用のことです。月ごとの契約ではなく、コワーキングスペースを好きな時に利用して1時間いくら、1日いくらと設定されている料金を支払うことを言います。施設によって値段も設定もまちまちです。

前述した通り、全てのコワーキングスペースにドロップインがあるわけではありません。用意されていないところもあるので注意が必要です。

ドロップインの意味とは?

ドロップイン「drop in」の意味は、「ふらりと立ち寄る」「ちょっと立ち寄る」です。

ちなみに英語を使うときは「drop by」も同じ意味となります。また、「drop in」は「〜に立ち寄る」と言う意味で使われますが、「drop by」よりも少し丁寧な感じになります。自動詞なので一般的に後ろに「at + 場所」または「on + 人」で使います。

コワーキングスペースでのドロップインは、「ちょっと立ち寄る」=1日または時間単位で利用することを意味します。

ドロップインの5つのメリット

では、まず、ドロップインを利用するメリットはどんな点なのでしょうか。

使いたい時に使えること

ドロップインは「ふらりと立ち寄る」「ちょっと立ち寄る」という意味ですから、急な利用もできます。いつもは自宅を使っているけれど、何かの都合で使えない。そんな時にドロップインが活用できます。また、取引先に行ったのに訂正やミスが出た場合もすぐに利用ができるので、対応することができます。

気軽に試せること

「近くのカフェで仕事をしているが、集中できないのでコワーキングスペースを使ってみたい」

「コワーキングスペースの利用を考えているけれど、初めてなのでどんなところなのかを確かめておきたい」

「作業しやすいかどうかチェックしたい」

と考えている人もいるでしょう。そんな時に、ドロップインを利用すれば気軽に試すことができます。気に入るコワーキングスペースを見つけるためにお試しで利用してみましょう。

必要なものが揃っていること

仕事で必要なWi-Fiなどが揃っていることも重要です。カフェやファミレスでも仕事はできますが、周囲の人の声や店の混み具合なども気にしながらの仕事になります。カフェやファミレスは仕事をする専門の場所ではありません。さらにWi-Fiがない、電源が使えないなど利用できないものがあると、よけいストレスを感じてしまうでしょう。

その点、仕事をする場所であるコワーキングスペースなら、仕事に必要な設備は揃っているので安心して集中することができます。

どこでも利用ができること

ドロップインは、急な仕事に対応しなければいけない時にも便利に使えます。

出張先や旅行先で仕事をしたい時にも使えます。あらかじめ近くにコワーキングスペースがあるかどうかを調べておけば、すぐに作業ができる体勢が作れます。

月額契約では契約した施設以外は使えませんが、ドロップインを利用することでいつでもどこでも使いたい時に使うことができます。

必要な時間だけ利用ができること

使いたい時に使いたいだけ使うことができます。

月額契約をしても、コワーキングスペースを利用する時間がなくてムダということもあるかもしれません。コワーキングスペースの利用回数がわからない時や、一時的に使いたい時はドロップインのほうが安くなるかもしれません。しかし、回数が多くなってしまい、月額のほうが安かった…ということもあるので、しっかりと見極めることが大切です。

ドロップインのデメリット

次に、ドロップインを利用するデメリットはどんな点なのでしょうか。

料金が割高になること

仕事は時に先が見えないことがあります。これで終わりと思っていたのに、訂正があったり、取引先のミスがあったりすることがあります。そのため、月に何度も使ってしまい、割高になってしまったということもあるでしょう。

ドロップインは月額契約と比べて、どうしても割高です。月に1~2回程度の利用であれば安く済みますが、そうでない場合は高くついてしまう恐れがあります。もし、仕事の拠点としてコワーキングスペースを利用したいなら、気になった施設を見つけて月額契約にした方が安く上がります。

空いていないことがあること

人気のあるコワーキングスペースでは席が空いていないということもあります。月額契約で固定席のプランを契約すれば、必ず場所が確保されて使うことができますが、ドロップインでの利用はそうはいきません。席がなければ、利用できないのです。

また、やっと席が確保できたと思っても、混雑していてうるさくて仕事に集中できないということもあります。

月額会員限定サービスが受けられないこと

コワーキングスペースによっては、月額会員限定サービスを実施している施設もあります。たとえば、営業時間前の早朝から使える、コピー代・コーヒー代が半額になる、会員限定スペースが使える、無料同伴枠があるなど。当然ですがドロップインでは、月額会員限定のサービスが受けられません。

まとめ

コワーキングスペースのドロップインは気軽にオフィス代わりとして利用できます。しかし、利用回数が増えてしまうと月額契約の方がお得ということもあります。ただ、コワーキングスペースは施設によって設備や、利用する職種も場所によって違ってきます。

まず、「駅までのアクセス」「徒歩○分以内」「金額」「設備」「雰囲気」「エリア」と重視すべきところを見つけて、気に入ったコワーキングスペースを見つけましょう。そのためにドロップインで気軽に使ってみるのがおすすめです。ドロップインを上手に利用して、自分に合うコワーキングスペースを探してみてください。